アメリカにおける家族療法


アメリカにおける家族療法家(士)は、アメリカにおいては、独立した専門研究領域であり、国家が精神科医・心理学者・社会福祉士、そして精神科看護士と共にメンタルヘルス領域の中核としてデザインしている専門職です。

 

アメリカでは、精神科医(Psychiatry), 心理学者(Psychologist),そして療法家(Therapist)には寄って立つ理論から、明確な違いがあり、お互いがそれぞれの領域のプロとしての専門教育を受け、そして専門家になった後には、それぞれの領域の更なる研究と訓練を受けています。

 

現在、アメリカ最大の学会であるアメリカ家族療法学会(American Association for Marriage and Family Therapy)に所属する会員は約24000人です。(2010)

 

 

Marriage and Family Therapy (夫婦・家族療法; MFT)の定義

マリッジ・ファミリー・セラピー(MFT)はシステム的な観点で、人間関係や人間相互作用や影響を扱う心理療法の一つです。MFTは、個人の問題を、その個人だけの問題として扱うという個人療法とは異なる、特別な概念と方法を用います。ファミリーセラピストは、人間関係・相互作用(相互影響)・システム理論の専門知識により、ファミリー・セラピストとしての専門の能力と資格を保持している者です。

 

 

 

Marriage and family therapy (MFT) deal with relationships and interaction within a systemic perspective. MFT requires special conceptualization as well as procedure that are distinct from individually-oriented therapies. It is the specific expertise in interpersonal relationships, interaction, and system theory that qualifies a professional as a marriage and family therapist.

American Association for Marriage and Family Therapy (AAMFT) Glossary of Terms, pg. 17, 1990

 

 

 

 

 


最近のアメリカの家族療法

アメリカにおける家族療法を含めた心理療法は、2009年あたりから一つの転換期を迎えているようです。脳神経科学との連携を始めたのです。

 

それまで、脳神経科学の研究者と、家族療法の研究やリサーチをする人々は、別々の研究領域として研究を進めてきました。しかし、この両者の研究領域の専門家が、関連に深い領域を扱っていることに気づき始めました。

 

それぞれの研究領域では、専門用語などの使用方法に違いがあって、今でも模索状態のところはあるようですが、現在、アメリカの家族療法家(士)で、脳神経科学と家族療法の関連性を知らない専門家は一人もいない、と言っても過言ではありません。アメリカは、ライセンス制度があり、ライセンスを持っている限り、学会や講習会に出席して、自分の知識や技術をアップデートすることは、必須だからです。

 

2009年のアメリカ夫婦・家族療法学会において、脳神経に関わる分科会は数えるほどでしたが、翌年の2010年には、ほとんどの分科会で脳科学との関連を知っていることが前提のような発表がなされていました。

 

これは余談ですが、うつの原因としてセロトニン説が有力でしたが、2010年に、アメリカの論文では、完全に否定されました。日本のうつの薬は、まだ、セロトニンがターゲットになっています。